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ビルの夜景を見ている人

2022年8月/現場で感じる収益不動産市況

2022.10.15

月次市況解説

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

8月はお盆休暇もあり、平年では不動産業界の閑散期です。

しかし今年の8月は9末に向けた売買需要が旺盛でした。

当社でも仕入、販売、仲介とそれぞれご成約が重なり、後述のレインズ成約事例でも取引件数が伸びています(昨年対比161%)。

金融機関と情報交換をする中でも、9末決済条件であれば頑張りますというお声を頂きますので、タイミングを見極めることが融資の要諦だと言えます。

スルガ銀行の融資承認が早い

当社が融資アレンジをした案件で、直近でスルガ銀行での融資承認がわずか数週間で下り、過去最速でのスピード承認となりました。

今月(9月)は目標の3倍近い融資実行見込みがあるそうですが、スピード対応の強みが周知されてこその人気だと思います。

とても多忙な状況でも尽力して頂いた関係者の皆様に感謝です。

盛り上がる不動産市場

不動産賃貸経営は他の投資との違い、金融機関・不動産会社・管理会社などを含めたチームワークが重要です。

同業他社様も一緒に不動産業界を盛り上げていく同志ですが、オープンハウス様は毎年500棟程度、購入&販売をしているとのことですので、市場に与えるインパクトもますます大きくなっていると感じます。

最近では地価の上昇もあり、中古RC造のマンションを解体して更地で売却するという買い手(不動産会社)も増えてきたようです。

割安感の強い国内不動産

一方、全体的なトレンドとして円建て換算の価格は横ばい・もしくは微増という状況です。

ドル建て価格が下落しており、対日投資の割安感は高まっております。

日本に住んでいる身としては、円建てでの判断基準になりますが、これだけ急速に円安が進んでいくと不動産においても為替変動リスクがあることを実感しています。

円建て指数とドル建て指数のグラフ
【出典:2022年8月12日 日経新聞】
不動産に対する期待利回りを表すグラフ
【出典:2022年8月12日 日経新聞】

金融緩和&低金利下で、不動産に対する期待利回りも低下しています。

3%を下回った場合、反動も想定されますので、より長期的な視点が必要だと考えております。

もちろん、未来のことはわからないというのが大前提ですが、仮説・計画を立てることはどんなビジネスでも意味があると思います。

アメリカ経済の動き

ここで海外情勢にも少し触れておきます。8月のジャクソンホール会議でFRBが「インフレ対策を優先する」というメッセージが世界へ伝わりました。

8月1日の段階では「来年の初めには利下げ」も織り込まれていたこともあり、そのパウエル議長の講演後、予想金利水準が上がっています。

また、FRBは6月1日~量的引き締めを開始しています。

当初は月475億ドルのペースでスタートし、3カ月後には2倍の月950億ドルペースの計画です。

2017年の前回のQTよりもペースが早いため、先行き不安は高まりつつあります。

FRB資料https://www.federalreserve.gov/releases/h41/20220901/
米国の政策金利の予想水準を表したグラフ
【出典:2022年8月28日 日経新聞】
FRBの資産拡大と米株高の連動しているグラフ
【出典:2022年9月1日 日経新聞】
特に新興国・途上国においては、ここ10年で官民債務が2倍になっているため、ドル高⇒債務負担増加によるデフォルトリスクも高まっています。

その他、サブプライムローン危機の際に空売りで莫大な利益を上げたと言われるマイケル・バーリ氏率いるファンドが、6末時点でIT関連株の売却をしたとのニュースがありました。粉飾決算のリスクを指摘しているとのことです。

日本の金融緩和

先日、日銀総裁交代後の日銀金融政策会合の日程が発表されました。

この日程からも米国の方針を確認してから後攻めしたいという思惑も見られます。

仮に来年、米国が利下げに転じた場合、日銀は利上げするタイミングを失ってしまうのではと感じますが、金融緩和解除の予測もある中で、日本の出口戦略の行方は世界からも注目を集めています。

2023年の日米の金融政策会合の日程表
【出典:2022年8月15日 日経新聞】

8月のレインズ成約事例

続いてレインズ成約事例についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数は、昨年対比で約161%で、先月からは減少となっております。

2022年7月成約数:48件
2022年8月成約数:29件(速報値)

レインズ在庫は1177件(平成元年築以降、1億~5億、都内、重複有)、先月の1193件から在庫は横ばいです。

2021年8月〜2022年8月の成約数
レインズより当社集計

注目した物件

南行徳駅での成約が2件ありますが、当社が得意としている価格帯、築年数でもあり、収益性と資産性のバランスも良さそうだと感じました。

鴨宮は当社のコアゾーンから外れてしまいますが、土地の広さと大規模修繕済である点がポイントになったのだと推測します。

修繕状況は不明ですが、中古物件は修繕履歴で大きく価格が異なるため、事前に確認することが望ましいです。


2022年8月 レインズ成約事例(抜粋)

①「岩槻」駅 徒歩16分 S48年 RC造
 売出価格 1.60億⇒成約価格 1.40億
 土地 300坪 建物 400坪
 成約利回り⇒12.6%
 ポイント:利回り12%台、土地300坪
 留意点:築49年、容積80%

物件チラシ

②「南行徳」駅 徒歩14分 S62年 RC造
 売出価格 2.60億⇒成約価格 2.45億
 土地 180坪 建物 300坪
 成約利回り⇒8.1%
 ポイント:タイル貼りマンション、ディンクス~ファミリー向け間取り
 留意点:残存12年、前オーナーリースバックあり

物件チラシ

③「南行徳」駅 徒歩14分 H1年 RC造
 売出価格 1.57億⇒成約価格 1.53億
 土地 88坪 建物 170坪
 成約利回り⇒8.1%
 ポイント:タイル貼りマンション、満室
 留意点:残存14年、単身間取り

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④「鴨宮」駅 徒歩22分 H3年 RC造
 売出価格 1.10億⇒成約価格 1.10億 ※満額
 土地 313坪 建物 213坪
 成約利回り⇒8.1%
 ポイント:2018年大規模修繕済
 留意点:駅徒歩20分以上、接道△

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⑤「宮前平」駅 バス便10分 H9年 RC造
 売出価格 4.85億⇒成約価格 4.543億
 土地 346坪 建物 593坪
 成約利回り⇒7.0%
 ポイント:高積算、2014年大規模修繕実施済
 留意点:EVあり、バス便

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⑥「松飛台」駅 徒歩1分 H9年 RC造
 売出価格 1.87億⇒成約価格 1.70億
 土地 186.93坪 建物 218.34坪
 成約利回り⇒6.6%
 ポイント:駅徒歩1分のファミリー間取り、南東角地で土地600㎡以上、残存22年RC
 留意点:EVありで経費率△、駅力△(乗降人員約4,000人/日)

物件チラシ

⑦「八王子」駅 徒歩9分 H16年 RC造
 売出価格 2.80億⇒成約価格 2.80億 ※満額
 土地 106坪 建物 211坪
 成約利回り⇒6.3%
 ポイント:残存29年RC、バストイレ別の単身間取り
 留意点:単身間取り

物件チラシ