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2022年6月/現場で感じる収益不動産市況

2022.08.15

月次市況解説

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

7月に入り、今年もあっという間の上半期が過ぎました。

6月は当社で久しぶりに東日本銀行での融資実績がございました。

アパートローン専門部署を設立したこともあり、横浜銀行に続き、積極姿勢を打ち出しています。

直近の不動産市況は堅調で在庫不足が続き円安の影響で海外投資家の購入意欲が高まっていますが、世界に目を向けると予断を許せない状況が続いています。

ウクライナ問題、ロシア国債のデフォルト、世界的なインフレ、利上げと、今年はすでに激動の一年になっています。

アメリカ経済の動向

下記をご参照ください。

金融緩和を継続する日本

一方で、世界のトレンドとは対照的に金融緩和を継続しているのが今の日本です。

日本が採用しているYCC(イールドカーブコントロール)は世界的にも稀な政策ですが、オーストラリア準備銀行は昨年11月に豪州版YCC(3年国債金利に目標設定)を停止し、総括レビューを公表しました。
そこでは、もっと早くにやめるべきだった、と率直な反省が述べられているとのことで、日銀の出口戦略には世界の注目が集まっています。

「さすがに近いうちに金融政策を修正せざるを得ないのでは」という予測のもと、日本国債の売りを仕掛けている機関投資家もいるようです。

黒田総裁が発言されているように、今、金利を上げると経済が苦しくなるのは目に見えています。

国債の管理運営はシビアに

また、YCC(イールドカーブコントロール、ざっくり言うと「国債買付」のこと)でターゲットにしているのは主に10年国債ですが、20年・30年債などは海外の金利上昇の影響を受け上昇しています。

金利が上がると国債の時価が下がるため、含み益が減少し、日銀が実質的な債務超過とみなされるリスクもあります。

実際は、日銀が簿価評価を採用しているため、財務に影響しないという見方もありますが、次期総裁の舵取りはますます難しいと言えるでしょう。

財務省は6月13日、国の債務管理を議論するため、新たな有識者会議「国の債務管理に関する研究会」を立ち上げました。
その他、幹部人事では、ミスター日本国債と言われている斎藤氏を理財局長に起用することが決まり、今後は国債の管理運営に対する議論が深まっていくと思われます。
国債利回りの推移
【出典:2022年6月24日 日経新聞】
国債保有者の内訳
【出典:2022年6月14日 日経新聞】
複数ある公的な土地の値段の一覧
【出典:2022年7月1日 日経新聞】

過去最高益の大手不動産会社

ここまで悲観的なシナリオについてのお話でしたが、株価も不動産も相対的には安定しているため、大手不動産会社の決算も過去最高水準の結果となりました。

2022年3月期 大手3社の営業利益
・三菱地所 2789億円 過去最高益
・三井不動産 2449億円
・住友不動産 2338億円

当社のお取引先の1つでもあるオープンハウス様も、今年の9月決算で営業利益1000億円が見えており、どこまで最高益を更新できるのか、過去最高潮の仕入・販売モードとなっています。

そのため、在庫不足・価格高止まりの市況感が継続していると感じます。

現時点では低金利だからこそ…

ミクロの話では、千葉銀行、横浜銀行、東日本銀行などに加え、信用金庫での融資実績のお話もよく聞くようになりました。

融資のハードル自体は緩くなっているわけではないのですが、一部の富裕層だけが好条件で融資を受けられるというのは、むしろ買える方にとっては相対的に有利な状況でございます。

金利が今後上昇する可能性はあり得ますが、現時点では低金利での融資を受けられていますので、5年固定金利などで優遇金利の実績を作ることで、今後の金利についても主導権を握ることができると思われます。

6月のレインズ成約事例

続いてレインズ成約事例についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数は、昨年対比で約132%で、昨年同月及び昨月よりも増加し3末と同水準でした。

2022年5月成約数:28件
2022年6月成約数:41件(速報値)

レインズ在庫は1186件(平成元年築以降、1億~5億、都内、重複有)先月の1164件から在庫は横ばいです。

2021年6月〜2022年6月の成約数比較
レインズより当社集計

2022年6月 レインズ成約事例(抜粋)

①「平塚」駅 バス10分+徒歩4分 S62年 RC造
 売出価格 1.20億⇒成約価格 1.10億
 土地 154坪 建物 227坪
 成約利回り⇒約10.88%
 ポイント:土地500㎡以上、利回り10%以上、角地
 留意点:稼働率70%弱、バス便、残存12年RC

物件チラシ

②「新座」駅 徒歩3分 H13年 S造
 売出価格 1.59億⇒成約価格 1.55億
 土地 60坪 建物 173坪
 成約利回り⇒約7.56%
 ポイント:駅徒歩3分、1K間取りで25㎡以上
 留意点:告知事項あり

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③「京成曳舟」駅 徒歩9分 S49年 RC造
 売出価格 1.32億⇒成約価格 1.32億
 土地 46坪 建物 136坪
 成約利回り⇒約6.59%
 ポイント:ディンクス~ファミリー向け間取り、賃料6万円台×30㎡以上⇒稀少性◎
 留意点:旧耐震、倉庫あり

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④「上石神井」駅 徒歩13分 H20年 S造
 売出価格 1.706億⇒成約価格 1.62億
 土地 48坪 建物 104坪
 成約利回り⇒約5.79%
 ポイント:オートロック・宅配ボックス有、角地、B/T別の25㎡以上間取り
 留意点:字型△

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⑤「巣鴨」駅 徒歩10分 H17年 RC造
 売出価格 1.10億⇒成約価格 1.005億
 土地 15坪 建物 52坪
 成約利回り⇒約5.72%
 ポイント:残存30年RC、修繕工事実施済み
 留意点:土地50㎡以下、間取り△

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⑥「錦糸町」駅 徒歩3分 H13年 S造
 売出価格 1.77億⇒成約価格 1.70億
 土地 25坪 建物 78坪
 成約利回り⇒約5.46%
 ポイント:駅徒歩3分
 留意点:事務所有、オーナー住戸有、土地80㎡程度

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