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2024年2月/現場で感じる収益不動産市況

2024.04.01

月次市況解説

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

現場で感じる不動産市況(歴史的株高と最新売買事例、など)

いよいよ2月も終わり、金融機関の3月末案件も佳境に入りました。
1月はやや取引件数が少ない印象でしたが、2月に関しましては、自社、他社ともに具体的な商談が多く、株高に合わせるようにして、不動産売買も活発になっています。

ただ、株高の期待感で売主様の強気姿勢は変わらず、買主様は金利と自己資金比率での課題もあり、在庫の増加傾向は続いているため、成約事例は強みが分かりやすい物件が多いことが読み取れます。

3月の会合に向けて日銀の方針次第ですが、短期金利が大幅に変わらないとすれば、しばらく横ばいの市況が続く見込みです。

また、日経平均が34年ぶりの最高値更新となり、証券会社も大いに盛り上がっているようですが、昭和のバブル期と比べますと、浮足立っておらず堅調という見方もできると思います。

世界的にも日本の株高の勢いは顕著で、半数を占める海外投資家の風向きも変わりつつあるのかもしれません。

その他、バブルを実体験した年代の方にとっては、株は怖いものだという認識が染みついている人もいらっしゃいますが、株価が上昇する局面しか体験していない若い世代にとっては、不安よりも期待をもっている方が多く、NISAなどの制度も相まって堅調に推移していると感じます。

また、この34年間で株価低迷のイメージはありますが、当時と比べて株価が10倍になった上場会社は142社ということで、まさに長期投資の力、複利の魅力を感じます。

今や懐かしい長者番付ですが、最後の2004年の納税ランキングで1位となった清原氏は、25年の間で93倍という成果を上げたとのことで、本日発売の話題書「わが投資術」を早速読んでみようと思います。

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【出典:日経新聞 2024年2月18日】
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【出典:日経新聞 2024年2月16日】
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【出典:日経新聞 2024年2月16日】

一方、不動産に視点を移しますと、東証REIT指数の直近の動きは下落傾向で、金利上昇リスクであったり、株高の流れでのREITから株式への資金移動などの背景もありそうです。

単純に金融商品的な側面を求めるのであれば、REITは選択肢に入りますが、やはり、現物資産として目に見えて、なおかつ経営者として賃貸経営を行うことに魅力を感じる方が多いのも事実です。

REITは築浅の物件も多く、家賃上昇幅が限られるファンドも多いと思いますが、全体的な傾向としましては、ファミリー物件を中心に家賃は上昇傾向で、東京から郊外に移り住む人も増えています。

海外から見れば日本の不動産はレバレッジも効いて、低金利で借りることができる魅力に驚かれる方も多く、資金調達次第で成果が変わるというのも醍醐味の一つであると考えます。

また、長期投資が重要と言われても、流動性の高い株式ですと、日々の時価推移が気になって、自分の力ではどうにもならないところに時間と労力をかけてしまうことにもなりかねません。

お金に振り回されない生活を望んだにもかかわらず、利益やお金の動きが見えやすいことで、結果的にお金に振り回されて、ご本業であったり、人生の時間を奪われてしまうことは避けたいところです。

株高で盛り上がっているからこそ、何を優先したくて、何を優先しないか、軸が大切なのだと改めて感じました。

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【出典:日経新聞 2024年2月28日】
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【出典:日経新聞 2024年2月20日】
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【出典:日本銀行 HP】

相変わらず、建築費用が高騰していますが、建築会社様のお話を聴いてみましても、しばらくは上昇トレンドが続きそうです。

直近でも麻布台ヒルズの施工で工期が遅れたり、資材価格、人件費の高騰で、大手の建設会社も苦戦しているとのニュースがありました。

清水建設につきましては、株式上場以来、初の営業赤字の見込みとのことで、2024年問題もあるため、職人さんの人件費の高騰は避けられません。

2023年の建設会社の倒産件数も前年比38%増加で、8年ぶりに1600件を超えました

各金融機関もアフターコロナの中小企業の倒産に備え、貸し倒れ引当金を積んでいますが、あおぞら銀行のような出来事もありますので、金融機関の融資姿勢は突然変わることがあると認識しておきたいと思います。

少し話はそれますが、一言で職人さんと言っても、マンション建設では細かく専門が分かれており、多種多様な職種、技能が求められます。

土木工事、基礎工事、とび職、鉄筋工事、型枠工事、電気工事、配管工事、塗装工事など、様々な職人さんが結集して創り上げるものですので、誰かが欠けてもうまく進みませんし、単純に金額だけを交渉すれば施工不良、手抜き工事に繋がってしまうリスクはあります。

今後、職人さんはますます人手が減っていきますし、とても危険を伴う仕事です。
自分ではできない仕事に対して敬意を払うとともに、関わる人への配慮、感謝を忘れないようにしたいと思います。

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【出典:日経新聞 2024年2月15日】

レインズから分かる収益不動産マーケット

続いて2月のレインズ成約状況についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数としましては昨年対比で64%で、先月からは3件増加となっています。

2024年1月成約数:26件(確定値)

2024年2月成約数:29件(速報値)

※2月は速報値のため上振れする可能性はあります。

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【レインズより当社集計】

レインズ在庫は【平成元年築以降、1億~5億、都内でレインズに1454件掲載、※重複有】

先月の1411件から43件増加でした。

続いてレインズ成約事例からいくつか抜粋させて頂きましたのでご参考までにご覧ください。


①「国立」駅 徒歩18分 1984年 RC造
売出価格 0.798億円 ⇒ 成約価格 0.71億円
土地 43坪 建物 94坪
成約利回り ⇒ 約 9.7%
ポイント:1億円以下、2路線2駅利用可
留意点:単身狭小1R(13.7㎡)、駅18分、昭和59年築

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②「藤沢」駅 バス18分 1988年 RC造
売出価格 3.68億円 ⇒ 成約価格 3.46億円
土地 345坪 建物 438坪
成約利回り ⇒ 約 8.5%
ポイント:土地1000㎡超、DINKS、ファミリー物件
留意点:バス便、EV無

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③「河辺」駅 徒歩13分 1987年 RC造
売出価格 1.2億 ⇒ 成約価格 1.2億 ※満額
土地 155坪 建物 183坪
成約利回り ⇒ 約 8.2%
ポイント:管理状態〇、2DK(45㎡)
留意点:駐輪場4台のみ(総戸数14戸)、家賃単価

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④「橋本」駅 徒歩6分 1988年 RC造
売出価格 1.3億 ⇒ 成約価格 1.23億
土地 73坪 建物 119坪
成約利回り ⇒ 約 7.9%
ポイント:接道◎(幅員15m)、再開発実施中(リニア新幹線開業予定)
留意点:店舗比率が高い

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⑤「矢部」駅 徒歩10分 1991年 RC造
売出価格 0.85億 ⇒ 成約価格 0.85億  ※満額
土地 54坪 建物 88坪
成約利回り⇒約 7.84%
ポイント:管理状態〇
留意点:狭小単身

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⑥「経堂」駅 徒歩5分 1997年 RC造
売出価格 2.8億 ⇒ 成約価格 2.7億
土地 63坪 建物 109坪
成約利回り ⇒ 約 5.4%
ポイント:経堂駅5分、広め単身×DINKS(30㎡超)
留意点:1F店舗(3/9戸)、不整形地

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「小岩」駅 徒歩10分 2008年 軽量鉄骨造
売出価格 1.9億 ⇒ 成約価格 1.9億  ※満額
土地 75坪 建物 110坪
成約利回り ⇒ 約 5.3%
ポイント:駅前再開発予定
留意点:軽量鉄骨造

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⑧「国領」駅 徒歩19分 1991年 RC造
売出価格 3.28億 ⇒ 成約価格 3.28億  ※満額
土地 296坪 建物 175坪
成約利回り ⇒ 約 5.3%
ポイント:大規模修繕実施済、積算評価大
留意点:容積率80%、徒歩18分

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「下北沢」駅 徒歩6分 1989年 RC造
売出価格 2.499億 ⇒ 成約価格  2.52億 ※満額オーバー
土地 70坪 建物 59坪
成約利回り ⇒ 約 3.8%
ポイント:下北沢駅徒歩6分、整形角地

留意点:総戸数6戸、稼働率50%

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