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2023年3月/現場で感じる収益不動産市況

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

不動産市況、融資環境、3月成約事例など

2023年の3月末も例年と同様に売買、賃貸ともに業界全体として繁忙期での盛り上がりを感じます。

特に賃貸につきましては、コロナ後で初めての繁忙期が戻ったという印象です。

海外の方、大学生の需要が戻り、単身物件のニーズも回復してきたように感じます。

当社の入居率も98%近くまで上昇し、過去最高の申し込み数を記録しました。

もちろん、ファミリー物件の需要は相変わらず旺盛で、分譲マンション価格の高止まりが見込まれるため、しばらくは賃貸派の需要増加が継続すると考えています。

インフレが継続する中で、RCの建築費も毎月1%以上は見積が上がっているとのお話を聞きました

鉄骨もRCより建築費が10%程度安いものの、あまり差がないようです(壁式で坪120万円~、ラーメン構造で坪150万円~)。

その他、コロナに対する制限の緩和や社会的な認識の変化もあり、体感値としまして、出社頻度が増えている会社が多いように思います

出社頻度に比例して都心回帰の流れになるのか、居住性、生活環境を優先するのかは、今後の動向を注視していきます。

また、融資環境ですが、大手地銀などにヒアリングしますと、どの金融機関も3末の融資案件は多く、4月以降の方針は変わらずと聞いています

個別のお話としましては、欧米の金融ショックのタイミングで、

・融資期間

・自己資金比率

・金融資産の内訳(ポートフォリオ)

について、本部審査が厳しくなった金融機関もございました

直接的な因果関係は不明ですが、シリコンバレーバンクやクレディスイスの問題が派生して慎重な姿勢になった可能性は否定できません。

シリコンバレーバンクは、米国の急速な利上げに伴う債権の含み損によって、預金流出が加速し、経営が行き詰まりましたが、驚くべきは預金取り付け騒ぎから破綻までのスピードです

図表(債券バブルが生んだ米欧金融不安 規制強化なら邦銀打撃)_DSXZQO3150393026032023000000 (1)
【出典:2023年3月27日 日経新聞】
図表(米国の中小銀行、預金流出最大 大手行・MMFへ15兆円)_DSXZQO3149577025032023000000 (1)
【出典:2023年3月25日 日経新聞】

ネットとSNSの広がりによって、経営環境が一気に変わる世の中であることを身に染みて感じました。

米国では資産規模16位の中堅の金融機関ですが、総資産は昨年末時点で約30兆円近くあり、日本で言えば、横浜銀行・東日本銀行のコンコルディアフィナンシャルグループよりも多く、横浜銀行と東日本銀行が破綻したレベルの規模感ではあります。

FRBは総資産上位25行を大手銀行、それ以外の地銀などを中小銀行として、週次でバランスシートの状況を集計していますが、中小銀行の15日時点の預金残高(季節調整値)は前の週比2.2%減の5兆4559億ドルで、遡れる1973年以降最大の預金流出額となりました。

流出額としましては、サブプライム問題が浮上した際の2.2倍とのことで、より安全な預け場所を求める動きが富裕層や企業を中心に広がっています。

また、クレディスイスの救済時に、発行している永久劣後債(AT1債)約2.2兆円の価値を0にすると、スイス監督当局が決定したことでさらに金融業界での信用不安が広がりました。

図表(AT1債とは クレディ・スイスで注目、3メガ3.6兆円発行)_DSXZQO3142527023032023000000 (1)
【出典:2023年3月24日 日経新聞】

本来であれば株式よりも優先的に守られるAT1債ですが、特別な政府支援を受ける際に、損失吸収のトリガーが引かれてしまったようです。

背景としましては、リーマンショック後に発行が始まり、複雑な仕組みやリスクに注目が集まりましたが、元本減額のケースが限られたために、損失吸収リスクへの関心が薄れてしまいまさに緩和局面での課題が表面化した出来事と言えます。

日本のメガバンクなどは相対的には安全だと考えられていますが、AT1債での自己資本増強が難しくなると、

配当を抑制して内部留保を積み上げる

低格付けローンを抑制する

などの選択によって融資姿勢が引き締めとなる可能性はあります。

プラス面としましては、直近で日本の長期金利はやや低下したため、4月の融資金利は少し下がる見込みとのお話はございました。

もちろん、それぞれの金融機関ごとの基準があるため、一概には言えませんが、朗報ではあるかと思います。

図表(AT1債とは クレディ・スイスで注目、3メガ3.6兆円発行)_DSXZQO3142654023032023000000 (1)
【出典:2023年3月24日 日経新聞】
【出典:2023年3月27日 日経新聞】

現在のバーゼル規制では、銀行の健全性を示すCET1(中核的自己資本)を算出する際、自国通貨建ての自国国債はリスクゼロとのルールのため、国債保有を膨張させている問題がありますが、FRBは5月1日に銀行規制・監督の見直し案を公表するため、その内容を注視していきます

また、日本の投資用不動産ローンについては、かぼちゃの馬車事件以降減少傾向が続き、コロナ禍で反転しましたが、管理会社が家賃を滞納するなど、考えられないようなトラブルもございました。

図表(マンション賃料、管理会社が滞納 オリックス銀行が調査)_DSXZQO3009096020022023000000 (1)
【出典:2023年3月7日 日経新聞】
図表(マンション賃料、管理会社が滞納 オリックス銀行が調査)_DSXZQO3009071020022023000000
【出典:2023年3月7日 日経新聞】

今後、コロナ融資の返済が進んでいく中で、家賃の滞納や返済に行き詰まる方も一定数出てくるかと思いますので、集金管理のみならず、入居審査、募集戦略、ターゲット選定など、管理会社の業務の重要性が高まると思います

レインズから分かる収益不動産マーケット

続いて3月のレインズ成約状況についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数としましては昨年対比で82%で、先月からは15件減少となっています。

2023年2月成約数:45件(確定値)

2023年3月成約数:37件(速報値)

※3月は速報値のため上振れする可能性はあります。

2023年3月レインズ成約件数(一都三県、1億~5億) (1)
【レインズより当社集計】

レインズ在庫は【平成元年築以降、1億~5億、都内で レインズに1320件掲載、※重複有】

先月の1296件から減少でした

在庫推移 (1)
【レインズより当社集計】

続いて3月のレインズ成約事例からいくつか抜粋させて頂きましたので、ご参考までにご覧ください。


「十日市場」駅 徒歩11分 S61年 RC造
売出価格 1.42億 ⇒ 成約価格 1.39億
土地 85坪 建物 170坪
成約利回り ⇒ 約 8.4%
ポイント:利回り8%以上、広め単身~ディンクス間取り
留意点:契約不適合責任免責、残存10年RC、建物グレード△

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「武蔵新城」駅 徒歩4分 S63年 RC造
売出価格 1.33億 ⇒ 成約価格 1.22億
土地 34坪 建物 71坪
成約利回り ⇒ 約 7.7%
ポイント:駅徒歩4分、プロパンガス導入済み
留意点:容積オーバー、ハザードリスクあり、1F店舗あり

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「柏」駅 徒歩14分 H9年 RC造
売出価格 1.26億 ⇒ 成約価格 1.26億 ※満額
土地 109坪 建物 135坪
成約利回り ⇒ 約 7.0%
ポイント:残存21年RC、H27年大規模修繕実施、角地
留意点:和室あり

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「立川」駅 徒歩11分 S62年 RC造
売出価格 2.05億 ⇒ 成約価格 1.80億
土地 127坪 建物 179坪
成約利回り ⇒ 約 6.8%
ポイント:都内 土地400㎡以上、ディンクス向け間取り、タイル貼りRC
留意点:残存11年RC

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「高島平」駅 徒歩3分 H9年 RC造
売出価格 4.43億 ⇒ 成約価格 4.05億
土地 76坪 建物 221坪
成約利回り ⇒ 約 5.5%
ポイント:駅徒歩3分、残存21年RC、角地
留意点:1F店舗あり、EVあり

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「新井薬師前」駅 徒歩4分 S62年 RC造
売出価格 2.83億 ⇒ 成約価格 2.83億 ※満額
土地 116坪 建物 173坪
成約利回り ⇒ 約 5.1%
ポイント:三井ホーム施工、広め単身~ファミリー間取り、角地
留意点:サブリース利回り

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