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2023年11月/現場で感じる収益不動産市況

2024.01.08

月次市況解説

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

当社お引渡し物件の実績と期待利回り

当社は昨年から11月末決算に変更していますが、おかげ様で今年1年も賃貸、売買は活況の中、無事に決算を迎えることができました。

不動産会社は各社堅調ですが、金融緩和や円安などの要因によるところも大きいため、今後は外部環境に左右されないよう、賃貸管理力、付加価値を高めて、中古×郊外×RCのコンセプトに集中していきたいと思います。

また、直近1年間にお引渡しをさせて頂いた自社物件について、概要を集計した表が下記になります。

多少、エリアや個別性はありますが、同じコンセプトで商品を提供しているため規模感や収益性、資産性も近似した結果となっています。

直感的に分かりやすいように表面利回りを記載していますが、不動産投資家調査による期待利回りから、築年数、立地などを補正、考慮した利回りとも、整合性が取れているかと思います。

一方、上記不動産投資家調査で、今後の不動産市況に与える要因として、金利上昇が挙げられていますが、プロのOIS市場におきましては、すでに来年以降のマイナス金利、ゼロ金利解除を織り込んでおり、米国の金融政策と合わせて、日銀の方針に注目が集まります。

【当社集計、作成】
【出典:2023年11月15日 日経新聞】

ここで、収益物件事業に取り組んでいる上場会社の決算資料からマーケットの動向を読み解いてみますと、金利上昇による影響は考慮しながらも、攻めの姿勢であることが窺えます

一方、約6,000億円程度の戸建て事業を柱にしているオープンハウス様の資料では、戸建ての在庫が増えており、仕入れ、販売ともにやや慎重姿勢が読み取れます

投資用も実需用も金利は重要ですが、コロナ禍で将来需要を先に取り込んだ戸建て事業は、その反動として、供給過多になりつつあるという構図のようです。

もちろん、米国で起きている現象のように、金利上昇局面で売り控え(ロックイン効果)が起きて在庫が減少⇒価格高騰という事例もあるため、単純な因果関係だけでは予測できないかとは思います。

都心のマンションもコロナ前には、そろそろ上昇も一服するだろうと思われていた中で、もう一段階の上昇がありましたし、市場というものに対して絶対にあたる予想は存在しないと肝に銘じておく必要はあるかもしれません。

【出典:株式会社オープンハウスグループ 2023年9月期 決算説明資料】
【出典:2023年11月28日 日経新聞】
【出典:2023年11月15日 日経新聞】

ただ、不動産業界の主力事業はオフィス・店舗物件ですので、欧米、中国などのオフィス需要や賃料が減少し、資金調達が難航する事例が増えてくると予想されますので、世界的には不安定な状況であるということは留意すべき事項かと思います。

11月にはウィーワークが経営破綻しましたし、直近ではオーストリアの不動産王のルネ・ベンコ氏が率いるシグナ・ホールディングスが破産手続きの開始をしたとのニュースがありました。

日本の不動産向け融資額も100兆円を突破し、過熱感も増しています。

都心オフィス事情も決して楽観的ではないですし、日本を代表する大手不動産会社も、オフィス需要、出社需要を高められるよう、創意工夫をしています。

住宅につきましても、平時や市況が上向いて時こそ、次の時代を見据えた高付加価値の住まいを提供する準備をすべきですし、入居率の維持だけではなく、リースアップをしながらも長期入居を実現できる仕組みやサービスを展開していきたいと思います

【出典:2023年11月16日 日経新聞】
【出典:2023年11月30日 日経新聞】
【出典:2023年11月30日 日経新聞】
【参考】
株式会社オープンハウスグループ  2023年9月期 決算説明資料(リンク) 
トーセイ株式会社  2023年11月期第3四半期 決算説明資料(リンク)
株式会社ムゲンエステート  2023年12月期 3Q 決算説明資料(リンク)

レインズから分かる収益不動産マーケット

続いて11月のレインズ成約状況についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数としましては昨年対比で85%で、先月からは15件減少となっています。

2023年10月成約数:45件(確定値)

2023年11月成約数:30件(速報値)

※11月は速報値のため上振れする可能性はあります。

レインズ在庫は【平成元年築以降、1億~5億、都内で レインズに1383件掲載、※重複有】

先月の1384件から横ばいでした。

続いて11月のレインズ成約事例からいくつか抜粋させて頂きましたので、ご参考までにご覧ください。


「新百合ヶ丘」駅 徒歩9分 1990年 RC造
売出価格 63,000万円 ⇒ 成約価格 48,000万円
土地 178坪 建物 338坪
成約利回り ⇒ 約 7.0%
ポイント:2路線利用可(百合ヶ丘)
留意点:EVあり

「西川口」駅 徒歩9分 1996年 RC造
売出価格 12,580万円 ⇒ 成約価格 11,800万円
土地 36坪 建物 108坪
成約利回り ⇒ 約 6.5%

ポイント:容積300%
留意点:間口が狭い

「日吉本町」駅 徒歩7分 1991年 RC造
売出価格 26,700万円 ⇒ 成約価格 24,750万円
土地 98坪 建物 143坪
成約利回り ⇒ 約 6.4%
ポイント:土地300㎡超、2路線利用可(日吉駅)
留意点:単身狭小(約15㎡~19㎡)

「下丸子」駅 徒歩3分 1995年 RC造
売出価格 25,300万円 ⇒ 成約価格 25,300万円 ※満額
土地 62坪 建物 135坪
成約利回り ⇒ 約 6.0%
ポイント:容積300%、DINKS向け間取り
留意点:店舗あり

相模大野」駅 徒歩6分 1999年 S造
売出価格 21,250万円 ⇒ 成約価格 21,250万円 ※満額
土地 186坪 建物 152坪
成約利回り ⇒ 約 6.0%
ポイント:パナホーム施工、全室南東向きの2DK
留意点:鉄骨造

「矢口渡」駅 徒歩6分 1997年 S造
売出価格 13,500万円 ⇒ 成約価格 12,500万円
土地 45坪 建物 74坪
成約利回り ⇒ 約 6.0%

ポイント:1億円台、容積率300%
留意点:鉄骨造

「保谷」駅 徒歩7分 1993年 RC造
売出価格 18,880万円 ⇒ 成約価格 18,880万円 ※満額
土地 110坪 建物 177坪
成約利回り ⇒ 約 5.7%
ポイント:2023年全室インターホン交換、ファミリータイプ
留意点:EVあり、敷地内コインパーキングあり

「荻窪」駅 徒歩11分 1990年 RC造
売出価格 38,800万円 ⇒ 成約価格 36,000万円
土地 158坪 建物 188坪
成約利回り ⇒ 約 5.1%
ポイント:土地150坪以上、DINKS・ファミリータイプ向け
留意点:公簿面積と仮測量に差異(約20㎡)