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ビルと青空

2023年1月/現場で感じる収益不動産市況

2023.03.01

月次市況解説

本記事は公開1~2ヶ月前に配信した不動産投資メルマガの抜粋です。

金利の行方とマンション価格への影響

日銀の利上げ観測が膨らむ中で、1月18日の金融政策会合では、緩和維持を決定しました

【出典:2023年 1月18日 日経新聞】

足元の消費者物価指数も41年ぶりに4%に達しており、日銀の見通しとは別に、生活感としましては、今後も物価上昇、値上げが続くとの予測が根強い状況かと思います。

また、国際通貨基金(IMF)は1月26日、日銀の金融緩和の修正提案を盛り込んだ声明を公表しており、直接的な影響はないものの、外部環境の変化には留意する必要がありそうです。

その他、次期総裁人事が見えないということもあり、投資家心理としましては、やや不安定な状況が続いているのではないでしょうか。

融資におきましても、審査時に金利上振れリスクや減額懸念もあったためか、融資ブレイクとなった案件も数件お聞きしました。

一方で、大手を含む不動産会社の仕入れ、販売意欲は旺盛で、まだまだ仕入れ競争は激化、価格は横ばいという印象があります。

収益物件の入札案件も5社~10社程度応札して競っている状況のため、当社もメリハリをつけて仕入れに注力しておりますが、表面的な情報や数字だけでなく、本質的な目利き力が試されてくるのではと思います。

【出典:2023年 1月18日 日経新聞】

教科書的には、金利上昇で価格下落というのがセオリーで、米国、オーストラリア、韓国などでは価格が調整されていますが、日本の場合は、やや複雑ではないかと感じてます。

例えば、一般的に金利が上がると株価は下がると言われますが、日本の場合は、10年国債利回りとPERとの関係において、金利が上がると必ずしもPERが下がるわけではないことがわかります。

【出典:2023年 1月12日経新聞】

金利が高い時は景気が良い時なので、会社の収益力も同時に上がるとも読み取れます。

また、昭和50年から現在までの1都3県の公示地価と10年国債利回りの推移を見ますと、必ずしも逆相関があるわけではありません

全体的に日本の人口は減少傾向ではありますが、1都3県で人口及び世帯数が維持できる地域につきましては、今後も地価は安定すると思いますし、都内よりも郊外の方が変動率が少ないというのは、他の資産とのバランスにおいて、リスクヘッジになるのではと考えます

【国土交通省と内閣府のHPより当社で作成】

また、公示地価の推移に比べて、首都圏の新築マンション価格の上昇率は高いですが、マンションの発売戸数が減少しているという背景もあり、資材価格の上昇、人件費の上昇等も相まって、特に新築マンションの価格は高止まりせざるを得ないと考えます

【出典:2023年1月27日 日経新聞】
【出典:2023年1月5日 日経新聞】

2022年12月建築費指数

https://www.kensetubukka.or.jp/wpcontent/themes/custom/pdf/business/soken/shisu/shisu_kentiku/summary_shisu_kentiku_2022.12.pdf


特にファミリー賃貸マンションの賃料は、分譲マンション価格(住宅ローン)に比例しますので、住宅ローンを躊躇する方々などを筆頭に、今後もしばらくは需要過多の状態が続くものと思われます。

【出典:一般財団法人 建築物価調査会 HP】

一般的に不動産の融資は、固定金利と長期金利がありますが、現時点ではみずほ銀行などが公表している長期プラムムレートが上昇し、住宅ローンの固定金利を上げている金融機関も増えております

【出典:2023年1月14日 日経新聞】

一方、短期金利はマイナス0.1%とするマイナス金利政策を維持していることから、現時点では変動金利については大きく変化していないものの、2月に総裁人事が決まるため、今後の政策変更に海外からも注目度も高いです。

雨宮正佳副総裁と中曽宏前副総裁とが有力と言われていますが、サプライズ人事を予想する声もあり、まだ分からないというのが正直なところでしょうか。

一方、米FRBは2月1日の発表で0.25%の利上げを決め、「継続的引上げ」という声明は維持しながらも、利上げ幅の減速から、年内の利下げへの期待感も生まれています。

ただ、米国が利下げサイクルに入った場合、日本が逆行して利上げすることはますます難しくなるのではないでしょうか

【出典:bloomberg HP】

レインズから分かる収益不動産マーケット

続いて1月のレインズ成約状況についてご紹介させて頂きます。

1都3県の成約件数としましては昨年対比で175%で、先月からは2件増加となっています。

2022年11月成約数:45件(確定値)

2022年12月成約数:28件(速報値)

※1月は速報値のため上振れする可能性はあります。

【レインズより当社集計】

レインズ在庫は【平成元年築以降、1億~5億、都内で レインズに1,284件掲載、※重複有】

先月の1,258件から増加傾向です。

続いて1月のレインズ成約事例からいくつか抜粋させて頂きましたので、ご参考までにご覧ください。

全体的に小ぶりな物件が多く、かつそれぞれ魅力と留意点がハッキリしている物件が多い印象です。

やや在庫も増加傾向にあるため、今後、選ばれる物件とそうでない物件との選別が加速する可能性はあると感じます。


①「一橋学園」駅 徒歩3分 H1年 RC造
売出価格 1.29億 ⇒ 成約価格 1.20億
土地 52坪 建物 151坪
成約利回り ⇒ 約 8.2%
ポイント:駅徒歩3分、1億台RC
留意点:オーナー住戸あり、店舗あり

②「宮崎台」駅 徒歩12分 S59年 S造
売出価格 1.18億 ⇒ 成約価格 1.1億
土地 67坪 建物 124坪
成約利回り ⇒ 約 7.8%
ポイント:土地67坪、整形地
留意点:総戸数4戸、3階部分は空室

「池ノ上」駅 徒歩6分 H3年 W造(一部RC)
売出価格 1.22億 ⇒ 成約価格 1.0億
土地 52坪 建物 69坪
成約利回り ⇒ 約 6.3%
ポイント:土地50坪
留意点:オーナー住戸リースバック、接道△

「新羽」駅 徒歩16分 H20年 軽量鉄骨造
売出価格 1.1億 ⇒ 成約価格 1億
土地 180坪 建物 60坪
成約利回り ⇒ 約 6.2%
ポイント:積水ハウス施工、土地180坪
留意点:旗竿地

「中野坂上」駅 徒歩8分 H3年 RC造
売出価格 1.98億 ⇒ 成約価格 1.45億
土地 29坪 建物 56坪
成約利回り ⇒ 約 5.7%(全空のため想定)
ポイント:広め単身間取り有、オートロック有
留意点:全空物件、私道

「西小山」駅 徒歩6分 S52年 RC造
売出価格 8,200万円⇒成約価格 8,200万円 ※満額
土地 21坪 建物 32坪
成約利回り ⇒ 約 5.5%
ポイント:品川区アドレス
留意点:留意点:旧耐震、残存1年RC