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収益不動産キーワード解説「劣化対策等級」

2023.10.19

コラム

お客様から直近でいただいたご質問に対して、弊社の見解をキーワードで解説していきます。

※各情報は弊社社員の見解および企業担当者から伝え聞いた情報です。取り上げた企業が公式にアナウンスしている情報では無い、ということをご了承ください。

「劣化対策等級」について

長期的な運用を前提とした不動産投資において、建物の耐久性や修繕状況の良し悪しは、入居者の安全を守り、継続して収益を得てゆくためにはとても重要です。

そこで今回は、建物の耐久性・長期利用の指標のひとつである「劣化対策等級」の概要、劣化対策等級を用いた不動産投資についてご紹介いたします

劣化対策等級の概要

劣化対策等級とは住宅性能表示による制度になっており、構造躯体に使用する材料の交換等、大規模な修繕を要するまでの期間を伸ばすために必要な対策の程度を示します。

等級は下記3つの等級に分別されています。

各等級に要求される水準は、等級及び構造によって異なります。

木造では建物の構造躯体のシロアリ対策や腐敗対策、鉄骨造では錆対策、鉄筋コンクリート造ではコンクリートの強度などが評価の対象となるそうです。

劣化対策等級を用いた不動産投資のメリットと注意点

メリット①:法定耐用年数を超えた融資が受けられる (※木造アパートに限る)

劣化対策等級を取得した新築木造アパートは、25年以上価値が維持されることになります。その結果、通常22年という法定耐用年数以内での融資期間が多いところ、等級2であれば30年超の融資を受けることができるため、月々の返済額が少なくなりキャッシュフローが良くなります。

ただ、劣化対策等級を取得するための費用(10~40万円)や等級基準に適合させるための費用が必要となり手出しは増えることになります。当然ながら融資期間を伸ばすことは金利の支払い分が増える点は注意が必要です。 

メリット②:融資額が伸びやすい

まず保有時には、劣化対策等級を取得した物件は地震保険料が10〜50%割引になりますので、その分の月々のコストは減少すると考えられます。

また劣化対策がなされているという安心感や、融資期間が伸びることによって従来より高値で取引ができる可能性もあります。

今後の展望

現状、RC造は劣化対策等級の適用はございませんが適切に修繕を実施していれば約100年利用できる可能性もあります。そのため将来的には法定耐用年数を超過している場合でも、劣化対策等級の適用や評価方法が変わり融資期間が伸びる可能性は非常に高いと弊社は考えております。

そうなれば、前述したとおりキャッシュフローが回りやすくなりますし、「融資期間の短さ」ゆえに取り組みづらい面があった中古RC物件が従来より高値で取引されると考えられます。

購入から出口まで考えた際に、RC物件の融資に劣化対策等級が適用される前にRC造を購入することのメリットもあるのではないでしょうか。

上記のスキームはあくまで一例ですが、お客様の考え方やご意向(規模拡大をしたいのか、償却を狙うのか等)、保有物件などを踏まえて最適なご提案をしてまいります。